看護師の6割以上は、病棟勤務だ。外来も各病棟も、既に罹患した患者の回復を目的として、診療行為の補助を行うことが業務のメインとなる。これに対して、保健師は行政保健師や産業保健師、養護教諭などの職種に分かれるが、いずれも主な業務は感染予防や健康維持といった保健指導だ。看護師として長年勤務してきた者が、既に罹患した患者を治療する前に疾病を予防する必要性を強く感じ、保健師の資格を取得して転職する事例も珍しくない。

行政保健師は、都道府県・市区町村で採用される公務員だ。行政保健師の職場は、保健所や保健センターで、担当する地域住民の健康な生活をするため、業務内容は多岐にわたる。産業保健師は、企業に勤務し、社員の健康管理と社内環境の整備が主な業務だ。健康診断の結果を分析して、身体の保健指導を行うだけでなく、欝による休職や退職の防止に向けたメンタル面のサポートも行う。養護教諭は、教員として学校の保健室などに勤務し、児童や生徒、教職員の健康管理のほか、児童と生徒への性教育も担当する。詳しくは、こちらも参考にしてみるといい。

保健師は、このように地域住民や企業の従業員、学校の生徒、児童などを対象に、罹患を未然に防ぐために尽力しているのだ。保健師は看護師の上位資格ということもあり、医療の知識やスキルを有しているため、各職場で急病など緊急時の対応もできる頼もしい存在となる。企業や学校といった施設内で社員や児童の具合が悪くなれば、まず保健室へ行って医療知識のある保健師の指示を仰ぐことは理にかなっているのだ。